ニューメディア世代の広告主は「キーオピニオンリーダー」(key opinion leader:KOL)を重要な宣伝手段として活用することが多くなっています。しかしKOLはあまりにも大勢いるため、露出やアクセス数増加への彼らの貢献度をどう計るかや、いかにSNSでの評判を長続きさせるかが問題です。KOL Radarはそうした問題を解決するために生まれました。
「KOL Radar」(ケイオーエルレーダー)は台湾最大のAI(人工知能)を使った KOL検索プラットフォームです。12万件以上のKOLリストとFacebook、YouTube、Instagram、TikTokなどのSNSオープンデータを1億件以上収録しています。KOL RadarはAIによる演算で最も完全で精確なKOLのマッチング案を提供することで、広告主のKOLマーケティングの効果を最大化します。
SNSのデータをリアルタイムで取得、プラットフォームの安定性と演算性能が鍵
ただし、このようなプラットフォームがリアルタイムにSNSのデータを取得し、短時間で演算を行って分析結果を出すのでない限り、広告主はKOLマーケティングの効果を適切に判断することができません。また大量のデータをメンテナンスするには、堅牢なデータベースと管理ツールのほか、使いやすく安定したクローリングシステムも必要となります。
KOL Radarのプロダクトマネージャー、Finn氏は、「もともとクローリングシステムは既存インフラの制約を受けるため、システムアーキテクチャが簡単に各プロセスの成否を明示できませんでした。それに既知の手がかりから問題発生の原因を探し当てることもできないため、製品開発チームは問題の調査や切り分けに多くの時間を費やしがちで、それが運用の負担を増やしていました。」と指摘します。
そこでチームは積極的にさまざまなクラウドソリューションを検討し、システムアーキテクチャとマンパワーも考慮した上で、Amazon Web Service(AWS)を採用しました。AWSはパブリッククラウドサービスの中では現在のところ最も成熟しており、大量の演算需要を満たせるだけでなく、AWSネイティブのSaaS(Software as a Service)サービスによってKOL Radarが何よりも必要としていたフローの可視化が可能になりました。
AWSのマルチソリューションがシステム障害を効率的に解決
Finn氏はクローリングシステムを例に挙げ、「チームはフルマネージド型メッセージキューイングサービスAmazon Simple Queue Service(SQS)を採用し、AWS SQSをすべての作業スケジューリングの入り口として、あらゆるクローリングタスクを管理しました。サーバーレス演算サービスAWS Lambdaも活用して個別のクローリングタスクを実行したことで、作業タスクの同時並行性(concurrency)と制御も最大化できました。さらにAWS Step Functionsワークフロー可視化サービスのお蔭で、各クローリング手順を乱雑なログ記録から取り出して、フローチャートとして視覚化することができ、プロダクトチームの追跡や調整に役立ちました。クローリングシステムの障害を効率的に解決しただけでなく、このために節約できたマンパワーを製品の開発・最適化に振り分けることもできました。」と語ります。
iKala Cloudの技術サポートでAWS導入がより手軽に
AWSを導入する過程で重要な役割を担ったのはAWSのパートナーであるiKala Cloudでした。iKala CloudはクラウドAI技術に関して長年の経験を蓄積しており、企業のクラウド構築、DXソリューションを多数手掛けてきました。KOL Radarのクラウド導入の初期から、iKala Cloudはアーキテクチャの計画を支援してくれました。双方の技術チーム同士で何度も検討を重ね、システム・設備を横断したデータの収集と転送というKOL Radarが持っていた課題も克服できました。Finn氏の説明によれば、iKala Cloudの技術コンサルタントの協力のお蔭で、KOL Radarのエンジニアたちが短期間でAWS製品に習熟でき、クローリングシステムも効率的に移行できたのだそうです。
将来の展望:SNSデータの取得をより速く、分析をより精確にして、広告主の収益を向上
今回のシステム移行により社内の運用がよりスムーズになりました。また、KOL Radarを使用する広告主もより精確で、より即時的なSNSデータが取得でき、マーケティングの意思決定を加速できました。AWSの多彩なサービスには開発チームが魅力を感じる機能モジュールが多くあり、今後も各クラウドソリューションが製品の開発と最適化を力強く推進してくれると期待されます